「祝!阪神タイガース“ARE”!~岡田監督的マネジメントと、仕事や就活への活かし方~」

その2 危機管理能力が高かった

ファンからみても、これはとても目を引いた点でしょう。
仕事でもそうですが「こうなるといいなあ」と楽観的に考えたくなることは多いものです。しかし岡田監督の場合はそんな希望的観測をせず「こうなると“まずい”から、今から手を打っておこう」と考えていたように思えます。
これは先ほどのフォアボールでの出塁と一緒で、自分たちがコントロールしやすい側面があります。「策を練り、先手を打つ」ということは、試合の外で出来る防御なのです。具体的例としては次のことが挙げられます。
当初クローザーには今春開催されたWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で活躍した湯浅投手を予定していましたが、大会後にひじを痛め戦線離脱してしまいました。しかし岡田監督は、その後釜に岩崎投手を充てる用意を周到にしていたようです。もう少し掘り下げると、WBCで使用するボールはメジャー仕様といい、日本のプロ野球が使用するボールよりも縫い目が高く滑りやすいボールです。そのため、慣れていない日本人は肘を痛めやすいといわれており、あの大谷翔平選手ですらも肘の手術をしているほどです。(※今年の9月には、右肘の故障が再発し、故障者リスト入りしました。)
岡田監督は、このあたりについても考慮していたのだと思います。一方ジャイアンツのクローザー大勢投手も同じような理由で戦線離脱しましたが、ジャイアンツは最後まで大勢投手の不在が響いてしまう戦いぶりでした。また、8月にタイガースの正捕手、梅野選手がデッドボールで戦線離脱したあと、すぐさま坂本選手が大活躍したことも危機管理能力を発揮した良い事例といえます。

その3 我慢強い選手起用だった

これは、チームの主砲サトテルこと、佐藤輝明選手の起用に尽きると思います。
昨年まで佐藤選手のポジションは、本職のサードだけではなく、外野を守ったりもしていました。しかし、今シーズンはサードに固定し打順も5番に据えていました。一時は打撃不振からファーム落ちも経験しましたが、優勝を決めるジャイアンツ戦では、値千金の2試合連続ホームランを放つなど、優勝争いが佳境を迎えた9月にはバッティングが復調し、チームの勝利に貢献することができました。
他にも、肩にやや不安のある中野選手のセカンドへの固定(ショートからのコンバート)や木浪選手の8番固定など、1年間一貫した選手起用は、セ・リーグのほかのチームとの大きな違いであったと思います。

さてさて賢者の皆さん、もうお気づきかと思います。
この三つの要素、会社の経営や部下のマネジメント、そして学生の皆さんは就職活動にもつながる話だと思いませんか。
中でも筆者は、その1の自分たちがコントロールしやすい「フォアボールでの出塁」については、学ぶべき点が多いと思っています。
以前にもこのブログで書きましたが、自分ができること・できそうなことに集中することは「成功の第一歩」と思っていましたが、今シーズンの岡田采配をみて改めて強く感じたところです。この点を実践できるようになると、危機管理能力の発揮や、辛抱強い行動が伴ってくるのではないでしょうか。