大学の実学志向と採用活動について Part.2

7月になりました。まだまだ梅雨の季節は続きそうです。
静岡県熱海市では大雨により大きな被害が出てしまいました。
被害にあわれた方には、心よりお見舞い申し上げます。
もちろん山国長野県に住む私たちも、一昨年の台風被害に遭っているため十分に注意が必要だと改めて感じています。

さて、先月は「大学の実学化」について大学側からの目線で書きましたが、
今回は企業側(採用側)の目線で考えてみたいと思います。

(前回は→こちら

前回も書きましたが、大学の学部・学科がどんどんと「細分化」しています。
さらに言えば大学院の細分化はもっと進んでいます。


これは2000年代初頭に行われた「大学改革」が大きな要因になっています。
筆者が当時の大学関係者の方々とお会いするとき、「大学ビッグバン」というような言葉もよく耳にしましたが、小泉内閣のもと、良くも悪くも「改革」という言葉が世を席巻していた時代です。
それに伴い国立大学が独立法人化されたのもこの時期です。

その頃に発行された出版物
『日本の大学改革 ~OECD高等教育政策レビュー』(2009年)によると、
大学院の位置づけが以下のように書かれています。

「大学院は教育研究の高度化と多様化。高度専門職養成に特化した、実践的な教育を行う」と。

確かにあれから20年近くが経った今日、大学院だけではなく大学自体の学部・学科の構成が大学院に近くなったように思えます。

実際に筆者も、このところ何度か採用の現場に立ち会い、
「本当に細部のことについて勉強をしているんだな!」と感じています。
最近発行された「AERA2021年5/17号(コロナ禍の大学入試~選ばれた「新興」学部~)」などでも似た内容が取り上げられています。

では企業の方はこれについてどう感じるでしょうか。

今回の主題である、企業側の目線になって考えてみようと思います。

この学習・研究内容の細分化は、見方によっては「ピンポイントすぎる」と感じる採用担当の方も少なくないのではないでしょうか。
そこまでジャンルを細分化してしまえば、特定の仕事しか出来ない人材になってしまうのではないか?と。

確かにマルチプレイヤーは魅力的です。基礎能力がまんべんなく高ければ、当然採用後は活躍することでしょう。
場合によってはどうしてもそのような人材が必要なときもあります。

ですが新卒採用において、そのような人材を見つけることは容易ではありません。
少子化の進む中で、選考の労力や職場との相性・定着率などを踏まえて考えると至難の業といえるでしょう。

だからこそ私達は「早い段階で『この道をゆく』と決めた大学生たち」に注目しています。

また、この「大学の実学化」は見方を変えると「学生の能力をはかりやすくなった」と言えるのではないでしょうか?
細部にわたり学習をしているということは、「知識を身につけた・得意な分野がある」というFact(事実)が分かりやすい。このことから企業は、採用したい学生がFact(事実)に基づいて様々なLogic(論理)を組み立てることができるのか、その能力を確かめることができるな…。
と感じています。

「ピンポイントすぎる」ことは決して悪いことではなく、選考の際の指標にもなるということが見えてきました。

世の中の変化を柔軟に受け入れながらその対策を講じていくことで、より良い採用活動が実現できるのではないでしょうか。
次回はこれから取り入れたい採用手法のひとつである、「履修履歴面接」について考えてみましょう。

引用/「日本の大学改革」~OECD高等教育政策レビュー:日本
2009年10月初版第1刷発行
編纂者:OECD 訳者:森利枝、解説者:石井昭男
明石書店発行

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特に中小企業の採用担当者の皆様には、ぜひ参考にしていただきたく存じます。

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