結婚相談所・式場の「イマ」から若者のリアルを考える

6月も終盤にさしかかかり、ジメジメと暑い日も増えてきました。皆様はいかがお過ごしでしょうか。
さて今回は、先般のお金の話に関連したことで最近少し驚いたことがありましたので、お話したいと思います。

驚いたことは2つあります。

まず1つ目はこのブログでも何度も触れている「返済型奨学金」についてです。
先日たまたま、とある結婚相談所の方とお話する機会がありました。聞くところによると利用者の方の中には、巨額の奨学金の返済を抱えた方もいらっしゃるとのことでした。人によってはそれが判明した時点で縁談が破談になったりする事例もあるとのことで、これには驚きました。返済型奨学金というものの暗い側面を垣間見たような気がします。

教育と人材育成において大変重要な役割を担っている奨学金制度ではありますが、結局のところは「借金」であることに変わりはなく、のちの人生において長く影響し重くのしかかるものなのだとつくづく考えさせられました。
また、若者がそれを背負って社会人をスタートせざるを得ない環境が常態化しているということに、大人である私たちは危機意識をもち対策を考えていかねばならないでしょう。

2つ目は、結婚式場のお話です。

最近は「結婚式の費用は前払いでお願いします」と言われることもあるという話も聞き、驚きました。あくまで相談所の方から聞いた話ですので真偽はわかりませんが、確かに「息子の結婚式は無事終了、そして翌日から借金の返済に追われる日々…」いう過払い金請求のラジオコマーシャルなどを聞いた記憶もあります。これはご本人ではなく親御さん視点の話ですが、何ともおかしな話に思えます。筆者が認識している限り、1980年代から90年代にかけては前払い制というものはあまり聞きませんでしたが(「内金」というのはあったと思いますが)、やはり式場側もこれまで様々な問題にぶつかり、その対策として前払いという方法が必要になってきたのだと想像できます。事業者のリスク管理として大変重要なことですよね。

そして問題点として見るべきは、結婚式場の料金体系ではなく「前払いにせざるを得ない状況が発生しうる社会環境」ではないでしょうか。もっと言えば、この仮説から「分割や後払いでトラブルに繋がった利用者がいたのではないか」ということが推測できます。人生に一度の盛大な催しですから、そのレベルのサービスに対して相応のお金がかかるのは当然です。それでも「結婚式を挙げたい」「挙式するのが当たり前」という感覚が広く根付く中で、その裏では「挙式するにはお金を借りないと間に合わない」という人が結構な数存在している──、というリアルがあるのではないでしょうか。そして、そこには前述の奨学金などが少なからず影響していることも考えられます。

少し感情的ですが、幸せな結婚式の翌日から借金返済の日々とは、あまりにも悲しいではありませんか。とはいえ「一生に一度だし、ポンと前払い」が簡単にできる世の中でもないのが現実なのでしょう。

日本の低賃金問題は様々な理由が複雑に絡み合っていますが、なんとかしてこれを良い方向へ傾けなければ物価と収入の乖離は更に加速するでしょう。これでは少子化などには一向に歯止めはかからないでしょうし、若者に負担をかけすぎていると言われても仕方ないですね。そして、この状況がすぐに好転する可能性は低いのではないかと筆者は予測しています。ネガティブな予測ですがリアル目線です。保護者の皆様に特に意識をしていただきたいのは、「そんな世の中だからこそ、できるだけ早い時期からのお金の準備と運用が必要」ということです。早ければ早いほど良いのではないでしょうか。

そして企業の皆さま──特に年輩の人事の方や企業のトップに立つ皆様は、若い人たちが置かれているこういった状況を直視し、意識を変えていく必要があるのではないでしょうか。今のうちから変えられる点を変え、より若い人たちが安心して暮らせる社会を作りませんか。それは巡り巡って自分たちや会社のためでもあります。

今回は、結婚式場の方のお話から、若者のお金の事情と感覚について推察をしてみました。「結局お金」といわれてしまうかもしれませんが、「結局お金」だからこそ、出来るだけ早いうちからの教育と意識付けが必要なのではないでしょうか。是非皆さんも様々な視点から問題意識をもって考えて頂けたらと思います。

最後に個人的な見解として述べさせていただきますと、景気対策として「目先のこと」にお金を使うことは重要だとは思いますが、「若い人たちへの投資」(敢えて「予算ではなく、投資」という言葉を使いますが)をもっと増やしてもよいと感じます。結果的に、それは高齢者及びこれから高齢者になる方のためになるはずです。

「情けは人のためのならず」です。

※「情けは人のためならず」とは、人に対して情けを掛けておけば,巡り巡って自分に良い報いが返ってくるという意味の言葉です

それでは今月はこのあたりで。

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