“学生と人事担当者がお互いに時間をかけず本質を見極める”就職・採用活動のススメ
暑い日が続きますね!
新型コロナウイルスの感染拡大も未だおさまらず不安な日々が続きますが、
皆さまいかがお過ごしでしょうか。
前回は大学の実学化と採用活動について考察してみましたが、いかがでしたでしょうか?
(前回は→こちら)
今月は「“学生と人事担当者がお互いに時間をかけず本質を見極める”就職・採用活動のススメ」として、実際に担当者が収集した情報から考察をし、新たな就職・採用活動の手法について考えていきたいと思います。
昨今の就職・採用活動は省エネでコンパクト、かつ確実な(離職率の低い)ものが求められています。
では効率の良い就職・採用活動とは一体何をすれば良いのでしょうか。
「生の声」を聞いてみました
はじめに学生/就職指導者サイド・企業人事担当者サイド両方が就職・採用活動においてネックと感じていることを挙げてみましょう。
以下に記載する内容は、コロナ禍において就職・採用活動が手探り状態でスタートした2020年春に、当プロジェクトが大学・企業のそれぞれの担当者に実施したアンケートでの「生の声」の一部です。
まずは学校サイドから。
1.学生と就職指導担当者は…
○就職情報が多すぎて就職先を選考する判断要素が見つけづらい。
○広報PRに終始する就職情報や企業イメージに惑わされず、会社の実態が見えてくる就職情報が欲しい。
○企業から発信される情報提供の視点や内容と質が表層的かつ、個別の価値観で表記され判断に迷う。
○就職活動の開始から試験・面接を経て内定通知まで時間と費用が掛かりすぎて負担が大きい。
○就職活動は従来の合同企業ガイダンスに参加後、個別の企業説明会や会社訪問にエントリー。その後にSPIなどの適性検査(「基礎能力適性検査」と「性格適性検査」)、試験、面接(一次・二次)と就職活動に多くの時間と移動や宿泊などの費用がかかり、学生に負担が掛かっている。
この一覧から、情報の質に対して行動する時間・金銭的な負担が大きいと感じていることがわかります。
では次に採用する側からの意見もみてみましょう。
2.人事担当者は…
○採用活動は従来では試験までの採用工程が時間とコストが長くかかり大変な仕事になっていた。
○今年、合同企業説明会が中止となり学生と接触の機会が激減した状況下で採用までの面談時間が少なくなり、学生の思考力や行動力が判断しづらくなっている。
こちらも時間・コスト面に加え、学生を採用するにあたっての判断材料が不足していることがわかります。
浮き彫りになった問題点と意識のギャップ
上記に挙げた課題はこれまでもありましたが、コロナ禍により図らずも浮き彫りになりました。
この「図らずも浮き彫りになってしまった」ということが大変重要なポイントなのです。
新型感染症の拡大から1年半が経過しましたが、採用側の皆さまとお話をすると“何となく元の生活に戻るような感覚”でいらっしゃる方が多いような印象があります。しかし、本当にそれで良いのでしょうか…?
依然出口の見えないコロナ禍において、「いつか終わる」と希望を持っていることは非常に大切なことです。
しかし現実問題として、その中で私たち国民は変わらず就職をし、採用をしていかなければなりません。
やはりその時代に合わせた就職・採用活動の手法を絶えず模索し、見出していくべきなのではないでしょうか。
今注目の手法「履修履歴面接(リシュ面)」
そこで、私たちがお薦めしたいのが「履修履歴面接」という手法です。(巷では「リシュ面」と略されているようですね)
履修履歴面接とは、学生に履修履歴や成績表の提出を求め、その内容にもとづいて質問する面接手法です。
履修実績に沿って、意思決定の理由や行動内容、結果や自己評価をヒアリングします。
最近の言い方ですと「エビデンスに基づいた採用活動」と言え、少し調べたところ都内などではコロナ禍以前から一部導入をされている企業さまもいらっしゃるようです。
大学の意義と履修履歴面接
さて、話は少し変わりますが…
日本の大学進学率があまり高くないということはご存知でしょうか。
2020年度は54.4%と文部科学省は発表していますが、この数値は主要国と比較すると決して高くはないと言えます。
これには様々な要因があると思います。
ある一定の年齢より上の世代の方々(かつて“レジャーランド”としての大学に通っていた、今の“おじさん”達)の大学に対しての認識がグローバルな視点からかけ離れてしまっていることが、隠れた要因になっているのではないでしょうか。
グローバルな考え方での大学とは「高等教育機関として専門的なことをより深く学び、その学びを社会に出るときに活かすことできるキャリアを積む場所」。
こう考えると私たちがお薦めする「履修履歴面接」が必要になってくる理由がおわかりいただけるかと思います。
次回は、もう少し掘り下げて履修履歴面接の具体的な手法と事例を紹介したいと思います。
それでは皆さまも引き続き、感染症・熱中症にお気をつけて
どうかご健康にお過ごし下さい。