岡田監督語録「普通にやる」から学ぶ働きかた
新年度になり、一ヵ月ほどが経ちました。新入社員の皆さんは、多少なりとも職場の雰囲気に慣れ始めてきている頃ではないでしょうか。また人事・労務の方々におかれましても、昨今の人手不足の中で、せっかく見つけた新入社員の皆さんをどうやって定着させ育成していくのか、日々頭を悩ませておられることかと思います。(前回記事はこちら)
さあ、そこで。
またまた阪神ネタです。(というよりも「岡田監督ネタ」です)
最近発行された岡田監督関連本のタイトルにもなっている「普通にやるだけやんか」という岡田語録があります。
──「普通にやるだけ」。
岡田監督が常々チームに浸透させてきた言葉だそうですが、「普通にやる」とは一体どういうことなのでしょうか。インタビュー等の内容から、下記にいくつか挙げます。(参考:NHK「“岡田節”で振り返る阪神の強さ “普通”にたどりついた先に」)
- 無駄なフォアボールを絶対に与えない。
- しっかりとランナーを送り、点を取れるときに取る。
- ダブルプレーを確実にとる。
- 基本練習、シミュレーションしてきたことの実践。
つまり堅実なプレー、「積み上げてきた基礎を確実に行う」ということのようです。岡田監督いわく、「ビッグプレーやファインプレーは必要ない」とのことでした。堅実なプレーを平常心で積み重ねることができるチームこそが、“勝つチーム”になる、つまり昨年の阪神のような“優勝出来るチーム”になるとのことです。実際に優勝しているのですから、とても説得力がありますね。
ほかにも、とある高校野球の監督さんが「トンボ(グラウンドを整備する用具)が、整頓されて片付いているチームは、強いぞ」と仰っている本を読んだことがあります。やはり「道具を大事にする」など基本的なことがしっかりと継続されているのは、強いチームの特長なのかもしれませんね。
新社会人の皆さんはいかがでしょうか。
基礎的なことを「普通にやる」、できていますか?
試しに、この“堅実なプレー”を日々の仕事に置き換えて考えてみましょう。
例として次のようなことが挙げられます。
- 出社/退社時に、聞こえるように挨拶をする。
- 時間を守る。
- 報告、連絡、相談を実践している。
- 机の上が整理されている。
- 道具を大切にする。
など。
このあたりはモチベーションの話ですが、働きやすい職場を作るうえで、誰もが日頃から心がけなくてはならないことです。また、上司/先輩にあたる皆さんは、全員がコミュニケーションを取りやすい環境を作り、出来ていない社員には適切な指導をすることが必要です。
専門分野においても
- 大学や専門学校で学んだことを思い出す。
- 上司や先輩に教えてもらったことをよく聞き、解釈し、実践する。
など、今まで積み上げてきたことを継続することが重要ではないでしょうか。採用時に企業は、新入社員の皆さんに対して何かしらの可能性を感じて採用しているはずですが、かといって、入社してすぐさまビッグプレーやファインプレーによる大活躍を期待しているわけでもありません。ですから新入社員の皆さんは焦らず気負いすぎずに、まずは社会人としての基礎的な行動、基本的な業務を日々積み重ねていきましょう。その積み重ねは、いずれ周囲からの“信頼”に変わりますし、この先重要な局面に立った時、焦らずに向き合うことが出来ます。
そしてそれらが“普通”にこなせる日常になった頃、さらにレベルアップする余力が生まれてくるはずです。
例えば
- もっとお客さんのことを考えて行動してみよう。
- 会社にとってベストな方法は何かを考えてみよう。
- チームで目標をクリアするために自分が活かせる能力は何だろう。
- もっと働きやすい職場にするにはどうしたらいいだろう。
など、もう一段レベルアップしたい気持ちが生まれたら、出来ることから行動してみましょう。そして、それを「継続すること」が大切です。
GWも差し迫り、新社会人の皆さんのみならず、社会全体が新年度に慣れ始めた頃で、どっと疲れが出てきている時期だと思います。ですから、ひとまずは「キホンのキ」を着実にこなすことに注力しましょう。
余談ですが筆者は若いころ、少し無理(書類の整理整頓をしなかったなども含め)をしてきてしまったかなと、この頃後悔することがあります。結局無理をすると、その時々には勢いやムードでグーンと前進することができるのですが、持続性に欠けていたように思えます。最近の言い方だと、サスティナビリティの欠落です。
やはり、無理せず気張りすぎず「普通にやり続ける」ことが成功への最短ルートなのだと感じました。