業種名だけで職業選択はNG?業種を選ぶうえで大切なこととは

10月に入りました。あの夏の暑さが嘘だったかのように秋めいてきましたね。企業の皆さんもそろそろ2024年春の採用モードに切り替え始めていることと思います。学生の皆さんもいかがお過ごしでしょうか。

さて、前回は“似て非なる金融機関”として銀行と信用金庫の違いについて書きました。今回は相変わらず学生さんからの人気も堅調な“公務員”について考えてみたいと思います。(前回記事はこちら

まず公務員というと、どのような職務を想像するでしょう?

身近な例としては“県庁職員”と“市町村役場職員”などが挙げられますね。実はこの2つ、同じ公務員でも、前回述べた銀行と信用金庫のように大きな違いがあります。ではその違いとは何でしょうか。

例えば、県庁には住民向けの窓口がありません(一部の業務では窓口はあるようですが)。一方で各市町村役場には、必ず住民向けの窓口があります。これは両方の施設を訪ねてみれば一目瞭然です。

その理由は、行政機関としての構造上、県庁職員の方々は“県民との直接的なコミュニケーションをとる”業務が少なく、市町村役場職員の方々は地域住民の皆さんと直接的なコミュニケーションをとることが主な役割・仕事となっているからです。

これは同じ地方公務員という職種の中でも大きな違いといえます。ここでも前回記事と同じ見方をすることで、自分の適正を見出すことができます。例えば「私はコミュニケーション能力に自信があり、人と接することが好きだ!」と感じている人は、どちらかと言えば市町村役場の方が楽しくやりがいを感じて仕事ができるかもしれません。一方で物事を分析したり、掘り下げて考えたり、行政に対してマクロ的な思考をすることが性に合っていると考える人は、もしかしたら県庁職員の方が適性があるのかもしれません。(もちろん基本的な能力に上乗せされる資質のお話です)

つまり、ひとつの職種に対しての一般的・表層的な印象や職種名のみでは、自分の適正は正確に判断できないということがいえます。なぜなら、同じ職種の中にもそれぞれの方向性や志向性があり人材適性は異なるからです。こういった表現をすると、一般企業の部署やグループ会社の事業所などにも当てはめて考えることができますね。

ではこの視点を応用した様々な業種選択の例を考えてみたいと思います。先程とは逆の観点で、「一見遠い業種・業界に感じるが、実は同じようなスキルを必要する仕事」を挙げてみましょう。

・信用金庫職員と市町村役場職員

→これは、併願されるケースが多い印象です。どちらも地域の方々と直接的なコミュニケーションをとる仕事という共通点があります。

・ホテルなどのサービス産業と福祉系施設

→サービスを提供する相手や目的・プロモーションなどの方向性が大きく違いますが、衣食住に係る業務やどちらもホスピタリティの精神を求められるなど、必要なスキルに共通点があります。

・自動車ディーラーと保険関連会社

→自動車販売会社は、損害保険を中心に保険事業に力を入れ始めています。近年別の事業部を立ち上げて生命保険などを取り扱っている会社も出てきていますので、保険に携わる仕事として見ることもできます。

・銀行全般と会計事務所

→これはイメージがつきやすい例かと思います。昨今の銀行は、昔のように「お金を貸すこと」だけでなく、それ以上の役割を求められるようになってきており、同じく会計事務所も「企業の経理業務をこなすこと」以上の価値を求められてきています。両業種とも「顧客(銀行の場合は融資先)の経営にある程度、場合によってはかなり深くまで関わることができる能力が必要」という共通点が挙げられます。

こう考えると、だんだんと視野が広くなってはきませんか?

自分の能力や適性は、様々な場所で活かせる可能性があるのです。決めた業種を一途に目指すことも良いことなのですが、自分の適性を分析し職業の名前“だけ”にとらわれないこと、広い視野・様々な視点をもち選択するということも、予想だにしない変化が起こり続ける令和の時代では大切なことと言えるのではないでしょうか。

と、そんなお話をしていましたら「八十二銀行と長野銀行が2025年をめどに合併する」というニュースが飛び込んできました。長野県の経済には良い点・悪い点で、様々な影響を及ぼしそうです。今後の推移を注視していきたいと思います。

それでは今回はこのあたりで。