「経済のブロック化」について

11月に入りました。ひと月前までの残暑がうそのように秋めいてきましたね。

大谷翔平選手が所属する、ロサンゼルスドジャースが、ワールドシリーズでニューヨークヤンキースを制し、世界一になりました。

筆者の若い時分には、これほどアメリカメジャーリーグは、どこか遠い世界のようなイメージを持っていましたが、これほどまでに身近に感じようになるとは、大谷選手の活躍ももちろんありますが、本当に時代の流れを感じてしまいます。
日本のプロ野球も日本シリーズが終わり、来シーズンに向かい動き始めています。
大谷選手に負けないように、がんばってほしいと思います。

さてさて、野球もそうですが、経済・政治もなかなかの展開になっていますね。

日本の国内もそうですが、11月はアメリカの大統領選挙も結果がわかってきますし、しばらくは目を離せない、目まぐるしい世界情勢の展開になりそうです。
(アメリカの大統領選挙は、このブログが掲載される頃には、選挙結果がある程度見えていると思いますが、その先も何だか不透明な感じがしますね)

これまで、当ブログでも「経済」について、ずいぶんと論じてきました。自説っぽくなりますが、「経済と採用活動また就職活動」「経済と日ごろの営業活動」は、以前と比べると、その関係性がより強くなっていると感じています。

さあ、今回のテーマは「経済のブロック化」についてです。

経済のブロック化

経済のブロック化とは、複数の国が自国を中心に排他的な経済圏を形成し、その中での貿易によって経済を運営する現象を指します。経済のブロック化は、世界経済史上1930年代の大不況期から第二次世界大戦中にかけて見られました。イギリスやフランスが代表的な国で、本国と植民地との貿易を拡大しながら、それ以外の国の商品には高い関税をかけるなど、排他的な貿易政策を実施しました。この政策は「ブロック経済」と呼ばれ、イギリスの政策は特に「スターリング=ブロック(ポンド=ブロック)」と呼ばれました。

ブロック経済は、自由貿易を阻害し、不況を長期化させました。また、各国の経済ナショナリズムの台頭やブロック相互間の政治的・経済的な摩擦を強め、第二次世界大戦を引き起こす一つの要因となりました。一方、第二次世界大戦後は欧州がEEC(欧州経済共同体)を発足させるなど、広い市場の創設によって育成された競争力をブロック外で発揮しようとする動きもみられました。
近年では、米中対立が激化し、貿易・投資ブロック化の兆しが見られています。国際通貨基金(IMF)の調査によると、米国ブロックと中国ブロック間の貿易フローや外国直接投資(FDI)プロジェクト数は、同一ブロック内のそれよりも減少しています。

AIによる概要を引用すると、経済のブロック化は上記のような内容になるようです。経済のブロック化が進むきっかけは、やはり戦争です。(武力衝突だけではなく、経済戦争も含めてですが)
近年では、ロシアのウクライナ侵攻、そして最近よく耳にする「台湾有事」などが例えに挙げられます。いつの時代も(特に近代以降)戦争になる要因は「経済問題」があるということは、歴史が証明しています。

一方今、私たちが暮らす日本は(世界も)完全なブロック経済の支配下に置かれてはいませんが、さまざまな局面で、私たちの暮らしに影を落とし始めています。物価高はその代表です。

中でも食料とエネルギー、私が日常の生活を営む上で、欠かせないものですが、日本の食料自給率とエネルギー自給率があまり高くないこと(低いこと)は皆さんもご存知でしょう。ちなみに、日本の食糧自給率/カロリーベースで38%、生産額ベースで63%。エネルギー自給率に至っては13.3%と先進国の中では極めて低い数値です。
※食料自給率については、上記のようにカロリーベースと生産額ベースの二つがあります。日本はカロリーベースを採用していますが、先進主要国や諸外国は生産額ベースが食料自給率の主流です。

個人的な見解としてですが、カロリーベースでの計算の場合、野菜などの低カロリー食材は、数値そのものが低くなるので、国際基準の生産額ベースを採用するほうが良いかと思います。(特に日本人は漬物など含めた野菜を多く食す文化を持っているので)

このあたりは、もう少し冷静に検証してみても良いのかもしれません。
※食料自給率とは、カロリーベースとは、生産額ベースとは、については以下の農林水産省のサイトを参考してください。

https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2302/spe1_02.html

とはいえ、以下の国と比較してみても、生産額ベースの自給率も日本より低い国はイギリスのみなので、改善は必要かと思います。

  • カナダ:121~123%
  • オーストラリア:128%
  • アメリカ:92%
  • フランス:83%
  • イタリア:80%
  • ドイツとスイス:70%
  • イギリス:58~62%

最近では、「食糧安全保障」「エネルギー安全保障」というキーワードで、その重要性を唱える識者が政治家を含め増えています。

なぜ、それが重要なのか…。
経済がグローバル化しているということは、よく言う「ヒト・モノ・カネ」が国境を越えて自由に動くということです。

一方、経済がブロック化してくると、その動きが緩慢になります。つまり海外から食料やエネルギーを調達することが、グローバル経済下よりも滞るようになります。

加えて、円安や日本全体の経済力が落ち始めている、と言われる中で(本当にそうなのか、については疑問もありますが)購入価格も上昇しますし、「そもそもお金がなくて購入することができなくなる」、そんな最悪なシナリオも頭をよぎります。

半面、日本は戦後この経済のブロック化が国民生活に大きなプラスをもたらしたことがあります。それは1950年から始まった「朝鮮戦争」の時です。この時日本は国連軍への補給物質として、戦車や戦闘機の修理や衣服の供給などで特需が生まれ、それがその後の高度経済成長を支えるきっかけになりました。

いま私たちが日常品として使っているナイロンなどの化学繊維は、この時に新しい技術として生まれた代表的なものです。

しかし今は、その時代と日本が置かれている状況も世界の状況も全く違います。

私たちは「民主的で開かれた資本主義経済体制」をこれからも維持だけではなく、発展をさせないといけないのです。

行き過ぎた資本主義はもちろん見直しが必要ですが「健全で節度とバランスのある資本主義経済社会」をこれからも目指していきたいものです。そして、この「健全で節度とバランスのある資本主義経済社会」は、個人的見解ですが、日本がこれに近い社会形態のような気もしています。

さて、今回のまとめです。

冒頭に、「経済と採用・就職活動」「経済と日ごろの営業活動」は、以前と比べるとその関係性が強くなっていると思います。一例ですが、食料とエネルギー自給率を見て将来の成長産業が見えてきませんか?

もちろんその周囲にも、様々な分野での産業が成り立つはずです。こういったことを仮説として考えながら、就職活動を考えてみるのも一考ではないでしょうか。

以前のブログでも書きましたが、経済は「経世済民」という言葉の略です。「世を治め、民の苦しみを救うこと」

経世済民という言葉の意味から、世界をマクロ的視点で読み取ると、「いま世の中にためになる産業(仕事)」とは何なのか、見えてくるのではないでしょうか。